天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
後宮制度は私には必要ない。あっても意味がないのだ。
私は白蘭だけしかもう目に映らん。
「本気なんですね」
「当たり前だ。戦が終わったら告げる」
「まあ、紅蓮様は一度決めたら引かないから止めても無駄ですよね」
「よくわかっているな。では戦の準備を頼む。私は白蘭に会いに行く」
朱雀は、私の性格をよく知っている。そしてすぐに戦の準備に取り掛かりに行った。
白蘭に会いに行こうと部屋をでる。
人間界に行ったのだろうか、いや、もう日が落ちる頃だから虹彩樹の庭か。
庭に向かうと、やはり白蘭の姿があった。
はじめて会った時のように、花びらを愛でている。
「探したぞ」
「あ、紅蓮」
「だから言っただろ。人間界よりここの方が美しいと」
「そうかしら。まあ、虹彩樹の庭も好きだけれど人間界と比べられるものではないのよ」
「…そんなに人間界に思い入れがあるのか?」
「はじめは死んだ母を探しに行ったのがきっかけだった。無駄だとわかっていても会いたかったの」
そんな経緯があったのか。