天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


食事を終えると兎月はすぐに眠りについてしまった。

あれほど嫌っていた私の寝床でねるなんて、本当に可愛い兎ね。

まるで子供みたい。

月影はというと窓際に座って、石のついた首飾りを見つめていた。

お茶を二人分入れて向かいに座る。


「はい。飲んで。お茶には自信があるの」

「ありがとう」

「その石、大事なものなの?」

「…いや。大したものではない」


そういう割にいつもの笑顔じゃないわね。

月影は白蘭にほとんど笑った顔しかみせない。

それは月影の善良さをあらわしているようだった。


「それより兎月が寝床を使ってしまって、すまない。」

「いいのよ。私、兎すきだし」

「そうか」


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