天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「それより、月影の方が心配よ。天界の皇子なのにこんな小さな家であんなところで寝てるんだもの」
人間界へ来るようになってから、月影は夜になると必ず天界へと帰った。
私に気を使わせないためか、あれこれ理由をつけていたがさすがに申し訳なく思い寝床を月影用に作ったのだ。
「皇子だなんて知らなかったから…」
「十分だ。私は人間界の方がずっと心地いい」
「本当かしら」
二人で顔を見て笑った。
やっぱり人間界に来てよかった。
魔界にいたら今頃、紅蓮を待って部屋でグズグズしていたんだわ。
お茶をのんでいたら段々と眠くなってきた。
「白蘭。」
「なに?」
「…」
返事がないので月影をみると月影もまた私を見つめていた。
「…どうかした?」
「…あ、いや」
月影は視線を誤魔化し月へ映すといった。
「今日は月が綺麗だな」
眠気で月はよく見えないが私はこたえた。
「そうね」