天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
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白蘭に想いを告げようと思った。


だが、手の中にある天空石が自分の立場を思い知らせた。


もしも天女の子が生きていたら、私はどうするのだろうか。


許婚がいながら、この想いを伝えるべきか迷っていたのだ。


天界の私には魔界の白蘭を娶ることはできない。このまま人間界で白蘭と共に過ごす日々があれば十分なのだろうか。


そんな思いが重なり、好いていると言葉にはできなかった。


白蘭はいつの間にか突っ伏して眠っていた。


「白蘭。そんなところで寝たら風邪をひく」


話しかけたが眠りが深いようだ。


白蘭を抱き自分の寝床に寝かせると布団をかけた。白蘭が気持ちよさそうに寝返りをうつ。


その様子を見て笑みが深まる月影。



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