天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~



次の日の朝。私は白蘭が起きる前に朝食の準備をはじめた。


誰かのために食事をつくるのはとてもやりがいがある。


「おはよう。月影。あ、朝食まで作ってる!夜も作ってもらったからいいのに!」

「私がやりたいのだ。もう用意できるから兎月を起こしてくれないか」


白蘭と兎月と三人で食事をする。


まるで人間のような穏やかな暮らしだ。


「月影。今起こっている、戦の事なにかわかる?」

「え?」

「今、天界と魔界の間で戦が起きているの」

「兎月は知っているぞ!魔界の皇太子と氷輪様が戦っているんだ」


紅蓮と氷輪が?


私としたことが人間界に夢中で戦場のことを考えてもいなかった。


いつもの小競り合いだと勝手に思い込んでいたのだ。


婚姻が嫌だと騒ぐ氷輪に天帝が罰を下したという話は聞いていたが、まさか戦場に送ったとは…。

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