天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「月影?」
「あ、ああ。そのようだな」
白蘭が心配そうに戦のことを聞いてくる。
私も氷輪が心配だ。紅蓮は戦神で法術も強力だが、氷輪はそうではない。なぜなら天帝の龍の血は私が継いだからだ。
私の真の姿は龍で、氷輪は天后の血を多く受け継いだから真の姿は水狐だ。
狐が鳳凰に勝てるわけがない。
「大丈夫だ。白蘭、私が戦を鎮めに行こう」
「月影が?」
「月影様は天界の皇太子よりも法術が強いのだ!心配ない!」
「なんで兎月が自慢げなのよ」
私が行けば紅蓮も氷輪も話を聞いてくれるはず。
二人も私同様、無駄な争いは好まないはずだ。
魔界に住む白蘭のためにも戦はしない方がいい。
白蘭としばし別れをつげ私は戦場へと向かった。