天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「うっ…」
玲心にやられた傷は致命傷でないにしろ軽くはなかった。
ここはどこなの?
傷の痛みに耐えながら立ち上がった。
周りを見ても暗く冷たい空気が漂うだけだった。
雪梨様にあれだけ玲心には気をつけろと言われていたのに、こんなところに閉じ込められてしまうなんて…。
目が段々、暗闇に慣れてきたとき奥で何かがうごめいているのが見えた。
「なに…あれは…」
私の声に気づきその生き物はこちらに気づいた。
鹿の頭に獅子の体。その巨体で、こちらに向かってくる。
「…幻覚獣」