天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


「紅蓮様!!これは!」

「氷結針だ!触るな!!」

「氷結針!?早く薬師神に見せねば!」

「騒ぐな。私の火炎術で効果を抑える。軍を引き上げるぞ」


朱雀が軍令を出しにいくのを見て自身の火炎術で氷結針の威力を押し出す。


「…」


さすが、秘術の氷結針だ。鳳凰の私ですらその針は溶かせないか。

並みの物では死ぬ術だ。

魔宮に戻ろうと踵をかえすと何者かが飛行術で飛んでくるのが見えた。


「あれは…香林?なぜここにいる」


最近では白蘭と親しいときいていた侍女の香林だった。

香林はすぐに軍の者に止められていた。


「なに用ですか!」

「ここは戦場です!女子が来るべき場所ではありません」

「どうぞ。おかえりください」


黒豹族のことだ。戦場の見学に来させられでもしたのか?

戦将軍がくるのはわかるが香林がくるとは…。


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