天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
うかつだった。
この短期間に玲心がそこまでするとは思わなかった。
「…っくそ」
氷輪に食らった氷結針が痛む。
飛行術では間に合わん!!
私はすぐに人の姿を解くと鳳凰になり魔宮へと飛んだ。
「どけえ!」
幻覚獣の鉄扉を見張っていた双子を翼で吹き飛ばし中に入る。
「白蘭!白蘭どこだ!!」
暗闇の中に白蘭が横たわっているのが見え、すぐに抱き起す。
「…紅蓮?」
「ああ、もう大丈夫だ!」
薄っすらと目をあけた白蘭は幻覚獣に必死に抵抗したのだろう、血まみれだった。