天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
だが紅蓮の姿が、なかなか見れず寂しい。
「白蘭!」
幻聴まで聞こえてきたと思ったら、力強く抱きしめられる。
「紅蓮!」
「白蘭、心配したぞ。馬鹿者。」
いつも意地悪で偉そうで自信満々な紅蓮が小刻みに震えていた。
「紅蓮こそ心配したわ」
「もう痛むところはないか?」
「平気よ!もう治ったわ」
紅蓮は私の無事を確認するとやっと安堵し放してくれた。
そして数日かけて今まであったことを話してくれた。
婚約破棄はどうやら本当のようで魔帝がお怒りだと言うのも本当だった、ただ後宮制度の廃止は叶わなかったらしい。
私の体が完治するのを待って紅蓮は言った。
「白蘭…虹彩樹の庭を見に行こう」
「そうね。だいぶ見ていないわ。行きましょう」
虹彩樹の庭は相変わらず美しく私は体が治ったことをいいことに走り回った。