天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
その笑顔をみて昨日のことが夢ではなく現実だということを実感する。
「行こう」
「どこに?」
「いいから」
紅蓮に手を引かれてついていくと、皇太子宮のすぐそばにある宮につれてきた。
「ここは後宮?」
「後宮には用はない…今日からここにそなたは住むのだ」
何個もある後宮を無視すると一番大きな宮の前で止まった。
「ここは…?」
「正室が住む宮だ。もう白蘭は私の正室も同然なのだからここに住むのは当然だ」
そうだろう?と目で見てくる紅蓮に笑い宮に足を踏み入れる。
「すごい…」
「気に入ったか?」
「ええ。気後れしちゃいそうなくらいだわ」
さすが魔宮の正室の宮だ。細かい細工が施されている。
「これから忙しくなるぞ。まずは私と婚姻し共に時間を過ごし、ゆくゆくは子をもうけねばな」
「まったく」
なんと幸せな時間なんだろう。そう白蘭も紅蓮も思った。