天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


「うっ…っ」


薬師神などはきてはくれない。


自分で体を癒すしかないのだ。


法術を使って体から氷結針を抜き取ると同時に龍の鱗がはがれ苦痛の声がもれた。


万が一と思い、書物で氷結針のことを調べておいて正解だった。


処置が遅ければ命に関わる。


紅蓮も氷輪に氷結針を受けていた。紅蓮は平気だろうか。


いや、平気か。紅蓮には薬師神も魔宮の者もついている。


それよりも白蘭だ。人間界で私を待っているだろうか。


人間界は天界より時間の進みが早い、私が今ここで寝ている間にも人間界では時はどんどん進むのだ。


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