天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
十日かけてやっと私の体は動かすことが出来るようになった。
人の姿に戻り宮の外に出ると兎月が飛びついてきた。
「月影様!!十日もお姿が見られずこの兎月、心配しました!!死んでしまうかと!」
「私は死なぬ。大丈夫だ兎月」
大声で泣く兎をなだめる。
この十日間で私の法術が弱まったせいか宮がすっかり廃れてしまった。
そんな中、兎月が一生懸命に水をやってくれたのだろう。庭の鈴蘭は元気だった。
「兎月、だいぶ時が経ってしまった。白蘭に会いに行こう」
「はい!あ…でも天帝と天后への挨拶はよろしいのですか?」
「もうよいのだ」
毎日欠かさずに行っていた挨拶だが二人から術を受けたことで気持ちは変わっていた。
あの二人に家族の情を求めてはいけないと。
以前は必死に家族愛を求めていたが、もうそんなものはどうでもよかった。
今は白蘭という愛がある。