天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


「八咫烏一族の秘伝の薬よ!傷口見せて」

「そんな貴重な物、使えぬ」

「いいから見せなさい」


醜い傷を白蘭に見せたくなくて手を引いたが無理やりつかまれる。

振りほどくこともできず、そのまま薬を塗られる。


「誰かに治療してもらうのは初めてだ。」

「そうなの?」

「ああ、天宮では兎月しかいないからな」

「…じゃあ、この薬は月影にあげるわ。怪我をしたら必ず塗るのよ」


八咫烏一族の薬は大事な者に贈られるものだ。


「白蘭、ありがとう」


治療が終わると白蘭が聞いてきた。


「天界ってどんなところ?」


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