天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「余計なことなんかじゃないわよ!」
「心配するな。そなたを必ず正室にしてみせる」
余裕そうな顔をして私を抱き寄せると笑った。
私は想いが通じ合えただけで充分幸せなのに。
「私は紅蓮がいれば正室だろうと後宮だろうと侍女だろうと関係ないわ」
「ふふっ…可愛いことを。少しは愛嬌を覚えたな」
「からかわないでよ」
すぐに口付けしてこようとする紅蓮の唇を手で止める。
「なぜ止める?」
「なんとなくよ」
「ん?恥ずかしがるな。何度もしているだろう。先程までの愛嬌はどうした?」
「…もうしない」
まったく顔が良すぎよ。こんな近くで見つめられたら、たまったもんじゃないわ。
魔宮に来る前、数多くの女子が騒いでいた理由がよくわかる。