天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「紅蓮様」
雪梨様が気付いたら立っていた。
慌てて離れようとする白蘭を紅蓮は放してくれない。
「なんだ。雪梨」
「…」
私たちの姿を見て無言で微笑む雪梨に白蘭は恥ずかしさで身をよじった。
「こら。暴れるな。雪梨、要件は?」
「紅蓮様、今日は五十年に一度の祭りの日です。侍女達が祭りに行きたいと騒いでいるのですがよろしいですか?」
「豊作の祭か…いいだろう。侍女に休暇を」
「かしこまりました」
雪梨様は答えを聞くと、まるで邪魔をしないようにと去っていった。
「豊作の祭?」
「ああ。昔、飢饉に見舞われたことがあってからは五十年に一度、豊作の祭を行っているのだ」
「へえ。」
「なんだ?」