天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
用意が終わると侍女はすべて下がらせ二人を待つ。
先に月影が現れた。
「今日もよい新月だな」
「そうだな」
いつも以上に穏やかな顔で笑う月影。
席に座り先に二人で酒を酌み交わす。
「誰か来るのか?」
月影が三人分の用意にすぐに聞いてくる。
「ああ、今日はお前に紹介したい者がいるのだ」
「そうか。誰だ」
「私の想い人だ」
「…玲心か。ならば私は帰るとしよう」
月影も玲心が嫌いなのだ。
席を立とうとする月影を止める。