天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「おいおい。待て。玲心ではない。あの女とは婚約破棄した」
「…本当か?」
「ああ、だから席につけ。月に一度しかない友との再会だろう」
言うと笑いながら大人しく席に戻る月影。
「それでその人は…」
「今、着替えている。昼間、豊作の祭に行ったのでな」
「ずいぶん仲がいいようだ」
「近いうち婚儀をあげる」
嬉しそうに笑うと月影も祝福した。
「私は天界の者だから参加できないが、先にお祝い申し上げる」
「ありがとう。そなたも最近楽しそうでないか」
「ああ、楽しい」
「珍しいな。どんないいことがあったのだ。話してみろ」
どんないい話か聞いてやろう。