天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


「おいおい。待て。玲心ではない。あの女とは婚約破棄した」

「…本当か?」

「ああ、だから席につけ。月に一度しかない友との再会だろう」


言うと笑いながら大人しく席に戻る月影。


「それでその人は…」

「今、着替えている。昼間、豊作の祭に行ったのでな」

「ずいぶん仲がいいようだ」

「近いうち婚儀をあげる」


嬉しそうに笑うと月影も祝福した。


「私は天界の者だから参加できないが、先にお祝い申し上げる」

「ありがとう。そなたも最近楽しそうでないか」

「ああ、楽しい」

「珍しいな。どんないいことがあったのだ。話してみろ」


どんないい話か聞いてやろう。


< 178 / 276 >

この作品をシェア

pagetop