天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「玲心との婚約破棄は天界との戦の報酬だが、侍女を正室に迎えるなど決して認めん」
「紅蓮。この魔界を支える身として身分の低い侍女を娶るなど言語道断です」
「父上!母上!!」
皇太子でありながら話すらまともに聞いてもらえない。
皇太子の婚姻はそれほど重要なのだ。
「私は…白蘭しか正室に認めません」
それでも引き下がらない紅蓮に、ついに魔帝が怒りに震えた。
「紅蓮。そなたがそこまで言うのであれば私にも考えがある」
「考えとは…?」
「魔帝の私に八咫烏一族など殺すことはたやすいのだぞ」
「!?」
「魔帝の私が黒といえば白い者も黒になるのだ。この私に魔界で出来ないことなどないのだ」
「っ父上!!罪のない者を殺すのですか!」
「お前がそうさせるのだ!」
信じられないという顔で紅蓮は父の顔をみたが、魔帝は本気のようだ。