天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「紅蓮、魔帝陛下の言うことを聞きなさい。」
「お前が侍女を後宮に入れるのは許そう。だが、正室だけは許さん。玲心が嫌なら黒豹族の香林を娶れ」
自分のあまりの無力さに血がにじむほど手を握りしめた。
今まで、完璧に皇太子をし欲しいものは全て手にしてきた。玲心と婚約したときも皇太子としてだ。
だが、白蘭に出会うことで愛を知ったのだ。
何度も説得すれば今回も得られると思っていた。
「八咫烏一族を殺されたくなければ考えを改めよ!…さがれ」
私は白蘭を正室に迎えることはできないと悟った。
謁見の間をでて、まっすぐ白蘭の元へ行き、抱きしめる。
「紅蓮…?」
こんなに細く小さい存在なのだ。八咫烏を魔帝が殺すことなど容易いこと。
いくら法術が強い私でも魔帝の命令は絶対なのだ。