天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
玲心は悲しそうに私から手を離すと部屋から出ようとする。
その姿は炎狐族の長とはかけ離れていて、ただ1人の女子にすぎない。
「玲心!」
「…なに?」
「許すわ…。あなたの紅蓮への想いは本物だもの」
「白蘭!ありがとう」
玲心はもう一度私の手を握ると礼を言った。
「あ…、二日酔いと聞いたわ。これよく効く薬なの。せめてもの償いよ」
「ありがとう」
そして玲心は出て行った。
外で控えていた明明が慌てて部屋に戻ってくる。
「お嬢様!大丈夫でしたか?何もされていませんか?」
「ええ。何もないわ。それよりこの薬飲むから水をお願い」
「これは…もしや、玲心から貰ったんですか?駄目です。こんなもの飲んだら!罠です!!」
罠かもしれない。でもあの玲心の心を私は信じたかった。
「大丈夫よ!それと紅蓮には今日のこと内緒にして」
「でも!」
「お願い!!」
「…はい。」
玲心の薬を飲むと今までの頭痛が嘘のように引いていった。
それをきっかけに私は玲心のことを信じると決めたのだった。