天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
確かに私もかつて一人の男のために女を憎んだものだ。
「そなたはその容姿と地位がありながらも、いまだに紅蓮に想いを寄せて貰えていない。それなのに何を手伝えと?」
魔后は扇子を仰ぎながら口元を歪ませた。
「あの女を殺します。魔后殿下も紅蓮のそばに八咫烏がいるのは好まないはずです」
「たしかに…」
それに一つ確かめたいこともある。
実は魔后は白蘭が虹彩樹の庭に入るのを目撃していた。
あの庭は現魔帝がある女のため…天女のために作ったもの。
紅蓮は勘違いしているが、あの庭に入れるのは魔帝と紅蓮と天女だけなのだ。
その魔帝の封印は私でさえ破れないほど強力なのにも関わらず、あの女は入れたのだ。