天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
魔帝は、私がいながら二千年前に天女に想いを寄せた。
だが天女は魔界では暮らせない。魔界の気に殺されてしまうからだ。
あの天女は死んだが子供がいるという噂が出回ったな…。
まさか、な。
「魔后殿下!どうか白蘭を私に殺させてください!!お力添えを!!!」
そうだ。どちらにせよあの白蘭が死んで私が困ることはない。
確かめたいこともある。
玲心にある薬を渡した。魔界の気の中毒を緩和させる劇薬だ。通常の者が使えば死に至る…しかしこれが効けば白蘭はあの女の娘である可能性が高い。
「いいか。玲心。この薬でまずは信頼を得るのだ。」
「なぜですか!すぐにでも殺したいのに!!」
「殺すのはいつでもできる。逆らえばお前も死あるのみだぞ…さあ、行きなさい」
あの女の娘であれば楽に死なせてなるものか。
そういう魔后の目も玲心同様に憎しみに染まっていた。