天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
紅蓮はすぐに願いをかなえてくれた。
私を横に抱くと飛行術で魔宮をでて、すぐ近くの岩場に向かった。
「ここならば誰も来ない。好きに飛ぶといい」
「本当に?私、魔宮の掟に反したくないのだけれど」
「安心しろ。ここは皇族が飛ぶ練習をする場だぞ。私もここで雪梨に飛び方を教わったのだ」
「あら、そう。じゃあ遠慮なく!」
私は思い切り白銀の翼を伸ばして羽ばたいた。
風に乗って岩場の隙間を避ける、久しぶりの感覚に胸が躍った。
紅蓮は下で待つばかりでなかなかこない。
なんで来ないのよー!
仕方なく地上に降りる。
「紅蓮も見ていないで来なさいよ。」
「下から白蘭を見ている方がいい。」
「よくない!じゃあ、競争しましょう?」
いいでしょう?と強請ると紅蓮は仕方ないと言って鳳凰の翼を開いた。