天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
なんて綺麗なんだろう。
鳳凰の羽は見る角度によって赤にも虹色にも見える。
「見とれたか?」
「ええ」
「そ、そうか」
正直にうなずくと紅蓮が満足そうに笑った。
「では、華麗に飛ぶところも見せなければな!」
そういうと紅蓮は思い切り飛び立った。
私も飛び立つ。
なんて速さなの!!
八咫烏一族の中でも最速な白蘭の羽でさえ紅蓮の足元にも及ばない。
久しぶりの感覚に白蘭は満面の笑みで紅蓮を追いかけた。
「競争だろう!早く来い!!」
まるで空は己の物かのように美しく舞う紅蓮に胸が高鳴る。
どれほど飛んでいたのか、気付いたら夕日が傾いていた。