天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


「なぜだ?」

「この病は生まれてすぐにわかる病です。いまさらかかるような病ではありません」

「何かの間違いだ」

「いいえ。薬師神に間違いはありません。殿下」

「…原因は?」

「…わかりません。先例がありません」


紅蓮が膝から崩れ落ちる。


「なぜだ?なぜ白蘭が?」

「魔気病はかかると一年足らずの命。死病ですが少しでも症状を抑える薬がこちらです」

「…ありがとうございます」


私は絶望する紅蓮を横目に薬を受け取った。


「お力になれず申し訳ありませんが…殿下これにて失礼します」

「駄目だ。行かせぬ!」


紅蓮業火を片手に薬師神の胸倉をつかみかかった。

< 209 / 276 >

この作品をシェア

pagetop