天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「なぜだ?」
「この病は生まれてすぐにわかる病です。いまさらかかるような病ではありません」
「何かの間違いだ」
「いいえ。薬師神に間違いはありません。殿下」
「…原因は?」
「…わかりません。先例がありません」
紅蓮が膝から崩れ落ちる。
「なぜだ?なぜ白蘭が?」
「魔気病はかかると一年足らずの命。死病ですが少しでも症状を抑える薬がこちらです」
「…ありがとうございます」
私は絶望する紅蓮を横目に薬を受け取った。
「お力になれず申し訳ありませんが…殿下これにて失礼します」
「駄目だ。行かせぬ!」
紅蓮業火を片手に薬師神の胸倉をつかみかかった。