天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


「必ず助けろ!!白蘭は死なせぬ!!助けねば、お前の命もない!!!」

「で、殿下!」

「言え!助けると!!助かると!!!言えっ!!」

「紅蓮!やめて」


今にも殺しそうな勢いの紅蓮に声をかけるとこちらに向いた。

解放された薬師神は必死に逃げる。

「は、白蘭…」

「大丈夫だから…私は大丈夫だから…」

「大丈夫なわけがないだろうっ…」


私を抱きしめる紅蓮。

そう。大丈夫なわけがない。

長寿の私たちに残された時間はあと一年しかないのだ。

大丈夫なわけがない。


「これからなのだ。やっと一緒にいられるのに…」

「…」


私もずっとそう思っていた。

この先、何千年と愛しい人と日々を送っていくのだと。

当然のごとく思っていた。


それなのにあと一年だなんて…。




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