天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
でも人間界で見てきた。色々な人たちを。病でもないのに百年しか生きられない彼らを。
それでも日々精一杯に生きていく人間というのは非常に美しい生き物なのだ。
私はそんな彼らがまぶしく、美しく、好きだ。
私は二千年は生きた、こちらの世界では若い方だが人間にしたら二十回も人生を歩んでいることになる。
十分じゃない。
「紅蓮…」
「…なんだ」
「私がいなくなるまでずっと側にいてくれる?」
「当たり前だ」
私も人間のように潔く美しく散りたい。
紅蓮は理解しないだろう。それでもわかってほしい。
最後まで悲しい顔はしないでほしい。
紅蓮と白蘭はお互いを抱きしめあいながら静かに泣いた。