天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
隣に座る魔后も政略結婚だ。
性格に少々難ありだが炎狐族の法術はすさまじい。魔帝に就くときにその法術の高さから娶った。
「玲心とは仲良くやっていたそうですから…そうですね?玲心」
「はい。魔后殿下」
その割には嬉しそうな玲心。
炎狐族の女はつくづく嫉妬深いようだ。
玲心もいまだ紅蓮に想いを寄せているのだろうことがわかる。
だが、こういう娘こそ魔宮にふさわしいのだ。玲心であれば陰謀渦巻く魔宮でも生き残れるだろう。
「白蘭は私の友なのです。何か方法はございませんか」
よく言う。友ならば、なぜ寄り添わぬ。女狐め。
「方法はある。呪いの神、呪神羅刹(らせつ)に頼ることだ」
「羅刹…ですか?」
「知らないはずだ。羅刹は魔界の果てに住んでいる。魑魅魍魎が住まう場所。神籍にも記されていない者だ。」
「その羅刹が白蘭を救えると?」