天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「それより報告が。あの八咫烏の娘が虹彩樹の庭に入るのを目撃しました」
「なに?」
虹彩樹の庭にその娘が。
もしそれが本当ならば、あの娘は…あの娘は…。
かつて私が愛した女の顔が浮かんだ。
「どういうことでしょう。虹彩樹の庭に出入りできるとなると、あの娘は…八咫烏の長とー」
「黙れ!!」
魔后の言葉を遮る声が広い宮の中で響いた。
八咫烏の男との子だと?
信じられない。
私が得られなかった女を八咫烏ごときが得たというのか。
「…直接聞けばよいのだ」
そうだ。拷問してもいい。吐かせるのだ。真実を。
「八咫烏一族を連れてまいれ」