天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


そんな仲の良い二人を誰も止めなかった。

最後なのだと。

今だけしかできないから。

私の前ではもう誰も泣くことはなかった。だから私も泣かない。

父上もそんな私をみて満足そうだった。

私が死ぬ時は娘はきちんと生を全うしたと誇りに思っほしい。


「では、そなたが私に食べさせてはくれぬか?ん?」


紅蓮が甘えてくるのが愛しくて仕方がない。


「しょうがないわね」


父上の前でさえ紅蓮には負けてしまうのだった。

兄上と明明が入ってきた。

二人が手をつないでいるのを見てわたしは目を輝かせた。



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