天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「そなたが…白蘭か」
声を聞いただけで体がすくむ。
拘束されていないのに命の危険を感じる。
…これが魔帝
無理やり顔を捕まれ魔帝は白蘭の顔をじっくり観察してから静かに言った。
「報告によると家族愛に満ちた善良な娘だとか…あぁ、家族に会わせてやろう」
そして私を立たせると手を引き父上と兄上、明明の元に連れていく。
「明明…兄上、」
兄の首を右手で抱き左手で明明の手を握った。
二人とも動かないがほんのりと温もりを感じた。
ついさっきまで生きていたのだ。
「白蘭…」
両足のない父上が私のことを抱きしめる。
「ち、父上っ。なぜ、なぜ、このような事に?」