天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「しつこいぞ。紅蓮。息子だとしても容赦しないぞ」
「魔帝陛下どうかお許しを!!すぐに下がらせますゆえ!!!衛兵っ!皇太子を下がらせよ」
魔帝が目を光らせるのを見て魔后が紅蓮をかばう。
衛兵を呼ぶと武装した兵士が紅蓮を取り囲んで神器で拘束した。
「白蘭っ」
「…紅蓮っ」
視界が涙でぼやけながら紅蓮が拘束されながらも手を伸ばすが空中をつかむだけだった。
兵士に拘束され宮から連れ出される紅蓮を私は何もできず、その場にへたり込みながら見ていた。
「そなたは紅蓮の妻であり魔気病であることから、今回の件は不問にしてやろう。この魔帝に感謝するがよい」
…感謝?感謝ですって?
まるで何事もなかったかのように魔帝と魔后は去っていった。
残されたのは私と父と兄と明明の亡骸だった。
「父上…兄上…明明」
父と兄の首を持ち明明の元へ行く。
明明と兄上がすでに半身消えかかっていた。