天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~



「なぜ、なぜこのようなことに…」


八咫烏は誰も、いなくなってしまった。


父上は私のことを最後の最後まで自分の娘だと言い切っていた。


違うじゃない。本当の娘じゃないのに…。


父は私を本当の娘のように愛してくれたのだ。


「そんな父上に怒られるといつも兄上が助けてくれましたね」


兄上はいつだって私の味方だった。


優しい兄上。私が翼のことでいじめられているときも、すぐに駆けつけてくれた。


罰を与えられた時も一緒にいてくれて助けてくれた。


水柱術で遊んだ時を今でも鮮明に覚えている。


自慢の兄だった。


「明明…やっと幸せになれると思ったのに」


実の姉妹のようだった明明。


こんな私に侍女として仕えてくれて、喧嘩もしたけれどずっと仲が良かった。


一緒に魔宮に行ったときも二人で屋台に夢中になって、私のために泣いてくれる人。


伝達鳥になれたって…私のためにすごい努力したのよね。


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