天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


兄上といつ結ばれるか、からかってそのたびに赤くなるのが可愛かった。


「やっと兄上と結ばれたばかりなのに…婚儀だって、あと数日だったじゃないっ…」


キラキラと光に変わっていくのを掻き集めるも無駄だった。


「行かないでっ!置いて行かないで!」


そして三人は光と共に消えた。


人間のように屍は残らない。


白蘭はその場でうずくまり独りで泣いた。


一族を想い。父を想い。兄を想い。


そして親友であり姉妹である明明を想い泣いた。


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