天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
放心状態になっていた白蘭を助けたのは玲心だった。
「白蘭。昨日は大変だったわね。」
「玲心…」
「でも魔帝陛下を恨んでは駄目よ。確かにあなたの父は虚偽の申告をしたのよ」
「…虚偽って?」
「あなたは本当の娘じゃないのに、自分の娘だと言い張ったの。掟に沿って処罰されたのよ。魔帝を恨んでは駄目」
「…父上が、そんなことを」
私のことを自分の娘だと言い張った。そんなことのために一族は滅んだというの?
「玲心…紅蓮は?」
「…」
「教えて?お願いよ」
「わかった。あなたのためにはっきり言うわ。皇太子殿下はきっと逆賊の八咫烏を後宮に迎えたことを後悔して来られないのよ…魔宮でも噂になっているわ」
「嘘よ…」
私に会うのが恥ずかしいと?
八咫烏を本当に逆賊だと?
「…そうね。数日待てば来るかもしれないわ。私が付いてるわ。白蘭」
それから数日経っても紅蓮は来なかった。