天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~

誤解

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法術封印の牢に入れられた紅蓮は壁に拳を打ち付けた。


「っくそ!!」


陶武殿も秋月も明明も守れなかった。


「っくそ!!っくそ!!」


何度も拳を打ち付けると手が己の血で染まった。


「誰か!皇太子殿下の御手を手当てするのだ!」

「私に触れるな!!」


すぐに侍医が来て手当てしようとするのを紅蓮は拒否する。


なぜ八咫烏に虚偽の罪がかかった。


父は聡明な魔帝のはずなのに。なぜあのようなことになったのだ…。


白蘭が心配だ。


病の身でありながら、あのような惨劇を目にしたのだ。


いますぐ白蘭の元に行きたいのにそれが叶わない。


いくつか手をつくしても牢は壊れないし足かせはとれない。

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