天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
なんでそんな不思議な顔をするのか。たしかにすごく男前な顔をしているけれど、よっぽど自分のことが好きなのね。
「魔界の者が皆あなたのことをしっているとでも思ってるの?もしそうなら、私の事だってもちろん知ってるはずだわ」
少しからかうと男は笑って「それもそうだな」と納得した。
「ここは綺麗ね。なんて花か知ってる?」
「虹彩樹という木だ。この樹は庭に五百本植えてある。術で花は枯れることはなく永遠に咲き乱れる」
「五百本も!?…植えた人は相当すごい人ね」
また男は笑った。何がそんなにおかしいのだか。
「魔宮にはどのような用事で来たのだ?」
「新夜祭で皇太子に会いに来たのだけどちっとも呼ばれないし、どうやら皇太子ったら宴にいないみたいなのよ」