天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
玲心が?優しいというのか?
無理をしたのか白蘭が咳き込む。
「白蘭…わかった。わかったから。」
すぐに寝床につかせ布団を掛ける。
「香炉は消さないと約束する」
「玲心を許してあげて…」
「…あぁ。許すとも。はやく寝なさい。傍にいるから」
手を握ると白蘭は目を閉じた。
体調がいいときには虹彩樹の庭に白蘭と行った。
口数が減ってしまった白蘭も虹彩樹を見ると薄く微笑んだ。
「はじめて会ったのもこの虹彩樹の庭だったな」
「そうね」
「皇太子である私のことを知らないと言い。そなたは生意気な口をきいた」
「そうね」
思い出すかのように遠い目をする。