天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
今日も忘却湖に行きたがったが、あまりの発作の多さに断念する。
発作が起きるたびに苦しむ白蘭の手を握り側にいた。
もう長くはないのだ。
寝付きの良くなる茶を持ってこようと部屋の外に出ると、雪梨と香林が側に寄ってきた。
白蘭の苦しむ声が聞こえたのか心配している顔だ。
「どうですか?様子は?」
「…よくない」
「面会しても?」
きっと白蘭は自分の苦しむ姿を二人に見せたくないだろう。
「…面会はもう少し待ってくれないか」
「しかし…」
「頼む」
言葉を絞り出すと二人とも頷いて下がった。
ため息がでた。覚悟してもし足りない。
いなくなるなんて考えられない。