天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「皇太子殿下…申し訳ございません。聞くつもりはなかったのですが」
「お前か…」
白蘭とは真逆の冷たい声音だ。
どうしてこんなに想っているのに冷たくするのよ…
幻覚獣の間での一件以降、紅蓮は私とまともに目も合わさなくなった。
魔后が止めていなければ私は殺されていたかもしれない。
久しぶりに見る紅蓮の顔を眺めた。
「私の視界から失せろ…」
不機嫌そうに私の顔も見ずに吐き捨てられた。
私は心で泣き顔では笑顔を作る。
「殿下。私も白蘭を救いたいのです」
「ふざけたことを。業火で焼かれたくなければ早く失せろ」
「いいえ。…方法が、助かる方法があるかもしれないのです」
言うと、紅蓮が振り向く。
今まで何も聞いてくれないかったのに、白蘭のことになってやっと私を見るのね。