天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


「…申せ」

「紅蓮様!信じるのですか!!」

「白蘭が起きるだろう。朱雀、静かにしろ」


朱雀が反対するが紅蓮はきかない。


「嘘をつけばすぐさま貴様を殺す。」


すごい気迫に、さすがの玲心も生唾をのんだ。


「以前、魔帝から聞いたのです。呪神羅刹のことを…」

「羅刹…」

「はい。羅刹は魔界の果てに住み何かと引き換えに願いを叶えると…」


紅蓮は考えている。おそらく私の話の真偽をはかっているのだろう。


しばらくすると紅蓮は何も言わず朱雀と去っていった。


きっと紅蓮は藁をもすがる思いで向かうことだろう。


だが、白蘭が死ぬまであと少し。


羅刹のところへ向かう間に私があの女を殺してやろう。


玲心は密かに不敵な笑みを浮かべた。


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