天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「玲心。どうやら私には、あなたしかいないみたい…」
力なく言うと玲心が手を握ってくれる。
「白蘭…私、あなたに言わないといけないことがあるの」
「なに?」
「実は…」
「玲心。お願い。あなたには嘘はつかれたくないの」
言うと玲心は申し訳なさそうに言った。
「実はね、紅蓮様から婚姻の申し出があったの。それも正室の」
婚姻…?
信じられない言葉に胸をおさえた。
まだ八咫烏一族が滅んでから数日しかたっていないのに私の前に現れもしないで玲心を正室に迎えると?
「ああ。白蘭、落ち込まないで。私も、さすがに酷いと思って紅蓮様に婚姻を引き延ばすように言ったのよ…でも聞いてもらえなかった遅くても半年以内にとのことよ」
半年…ちょうど私の寿命が尽きる頃だ。