天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
確かに私は死ぬ前に玲心を正室に迎えるように伝えるつもりだった。
でもそんなことは余計なお世話だったみたい。
「白蘭。私を嫌いにならないで。きっと紅蓮様は私の権力が欲しいのよ」
「あなたを責めはしないわ」
そう。責めはしない。
ただ、あの日、虹彩樹の庭で愛していると伝えてくれたのも、正室に誰も向かえないと約束したのも全て嘘だったのだ。
馬鹿な私。
八咫烏が鳳凰に手を伸ばしたのがいけなかったのだ。
一族は死に無様にも紅蓮に愛されていると幻想を抱いた私が愚かだった。
その後、薬も効かなくなるほどに私の体は衰弱していった。
もう人の姿も保てず白銀の羽が出ていた。
薬師神でもお手上げなのだ。そっと白蘭は目を閉じた。