天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


手に温もりを感じ目を開けると紅蓮がいた。


かつてのような優しさで、なんでも叶えてやると口にする。


何を言えばいいのか、わからなかった。


ただ、あの魔帝によく似た端正な顔で紅蓮の頬を伝う涙を拭った。


それからは紅蓮はずっと一緒にいた。


喜んでいいのか恨むべきなのか、思考が鈍ってよくわからない。


香炉を消そうとし玲心を悪く言う紅蓮に腹が立った。


自分は私に会いに来もせずに玲心と婚約を進めて、いまだに私の前で嘘をつき続けるのかと今にも叫びだしそうだった。


玲心は悪くない。ただ紅蓮を想っているだけなのだから。


「玲心を許してあげて…」

「…あぁ、許すとも。」


すんなり玲心を許す。やっぱり婚姻は本当みたいね…。




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