天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~

呪神羅刹

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一方、紅蓮は魔界の果てに向かい空を飛んでいた。


もう魔帝の禁足令など聞いている暇もない。


白蘭が今にも死にそうなのだ。急がねば間に合わない。


玲心に聞いた話は、幼い頃、書物で読んだことがあった。伝説だと思っていたが魔帝が話したとすれば多少信憑性がある。


少ない確率でもゼロでないなら賭けるしかない。


白蘭に挨拶してから向かおうと思ったが、途切れぬ発作の上に私が出かけると言えば不安がる。


後のことは薬師神に任せて私は朱雀と共に羅刹の元に向かった。


三日三晩、全力で羽を動かしやっと見えてきた。


「おそらく、あそこですね」

「ああ」


他の場所と違い邪気であふれている森があった。




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