天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


「紅蓮様っ」

「騒ぐな。しばらくすれば動ける」


そうしばらく待てば。


だが、ここは魔界の果て魑魅魍魎が住まう場所だ。


「はやく羅刹を探さねば」


朱雀の手を借りて歩き出そうとしたとき、すぐに次の敵が現れた。


先ほどの奴らと違って人型を保っているが全身から血が流れ出ている。


「ぐ、紅蓮様!!あれは!?」


戦慣れしている朱雀でさえ怯む醜き姿だ。


「…神堕ちだ」


この状況で神堕ちと会うとは、なんとも間が悪い。


姿は醜くても元は神だ。神籍を持っていただけあって法術は凄まじいだろう。


どんな神だったのか見極めようとしたが血まみれでわからぬ。


「朱雀下がっていろ。相手は元は神だ。神籍を持たぬ、お前で敵う相手ではない」


「しかし!」


< 262 / 276 >

この作品をシェア

pagetop