天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


朱雀が迷う間もなく神堕ちが奇声をあげて突っ込んでくる。


火炎術と剣で立ち向かおうとした紅蓮だったが神堕ちが動きを止めた。


続いて大きな地響きがこちらに向かってくる音。


なんだ?


その音はだんだんと大きくなり、そして音の主は姿を現した。


胴体は大きく土蜘蛛のような姿で頭の部分は人の顔。そして目には目隠しをしている。

口元に笑みを浮かべ、その化け物はこちらに向かってきた。


神堕ちがそれを見て、すぐさま逃げ出す。


その土蜘蛛の化け物からはかすかに神のようなものを感じた。


「紅蓮様!私たちも行きましょう!」

「待て。確かめたいことが」


土蜘蛛は私の目の前で止まり口元をさらに上げた。


「私を呼んだのはあなた?」


男とも女とも取れぬ、不気味なしゃがれ声で聞いてきた。


やはりな。


「そなたが呪神羅刹か?」

「そうとも私は呪神羅刹」



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