天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


「面白そうだと思って側に置いた、私の心ない言葉に喜ぶ様は実に愉快だったぞ。」

「紅蓮…」

「身の程も知らず愛されているなどと思っていたのだろうが」

「紅蓮…やめて…」

「私の事を想い地位も権力もある玲心と婚儀をあげる。そなたはもう用済みだ」

「やめてよぅ…」


紅蓮の言葉が何度も私の心を傷つけて踏みにじった。

突然、紅蓮が私の翼を掴んだ。

あまりの乱暴さに羽が痛む。


「うぅっ…」

「父上が八咫烏の羽は良薬になると言っていたな。お前の羽を玲心への婚約祝いとしよう」


そういって紅蓮は口角をあげると剣で私の羽を体から切り離した。


「あぁっ!」


想像を絶する痛みに白蘭は悲鳴をあげ泣いた。

痛い。痛い。痛い。

身体はもちろんのこと心がひどく痛んだ。


「なぜ…なぜ、ここまでひどいことをっ!」


白蘭の目に初めて憎しみが灯った。


「もうじき死ぬお前に答える義理はない」


全身が痛む。このまま私はここで死ぬの?


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