天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
魔都にある屋敷につく。
「静かにな」
「ええ」
兄上と周りを見回しながら屋敷に足を踏み入れた途端
「何をしていた」
「「父上」」
慌てて兄上をその場に跪いて礼をとる。
「半刻の間何をしていた」
「申し訳ございません。父上…実は…」
「黙れ秋月!私は白蘭に聞いているのだ」
私をかばおうと口を開いた兄上が怒鳴られ口を閉じる。
「申し訳ありません。父上。初めての魔都で浮かれてしまいました」
「それで。浮かれて何をしたのだ」
「…その…空を…翼で」
「空?空だと??この馬鹿者!この魔都で真の姿を見せるやつがいるか!!」
私たちは普段、翼などの真の姿は見せない。真の姿を見せることで、どの一族なのかわかってしまう。身分争いに巻き込まれたりしない等を危惧しているからだ。そのため人間と同様の姿でいることが常だ。